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美少女戦士まほうしょうじょ 第4話 その4

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     渋谷のスクランブル交差点。平日の昼下がり。毎日お祭りがあるかのような賑わい。スーツを着たサラリーマンやOL、おしゃれに着飾った若者たち、様々な人々がごった返すこの交差点。今はクラクションと怒声が鳴り響いている。
    「おい!!何やってんだ!!さっさと車進めろ!!」
    「え、何あの人、何やってんの…」
     車の信号は青になっているにもかかわらず、1台の車が停車したままだった。後ろには交通量が多く、車線変更も出来ない車が詰まっていた。
    「おいあんた!大丈夫か!」
     後ろの車の運転手が、心配になったのか車を降りて、停車している車の様子を見に来ていた。運転手は何やらハンドルを持ったままうつむいて何やら喋っている。
    「ぶっ…こ…してやる……」
    「え?なんだって!?」
    「ぶっこrしてやる…、ぶっこrしてやる…、ぶっこrしてやる…、ぶっこrしてやる…、ぶっこrしてやる…、ぶっこrしてやる…、ぶっこrしてやる…、ぶっこrしてやる…、ぶっこrしてやる…」
     その異常さに、様子を見に来た運転手はのけぞった。
    「おい…こいつやべえぞ…。ハッ!!おい!そこいらの通行人!あぶねえぞ!」
     俯いていた運転手が顔上げた。
      クラクションに歩行者への警告はかき消された。
      停車している運転手がアクセルに足をかけた瞬間、様子を見に来ていた運転手は、何者かがこの車を突き抜けて、通りすがったような気がした。あたりを見渡しても特にそれらしき人影はない。
     目線を戻すと、車の運転手は今目覚めたかのように、両目をパチクリしていた。
    「あれ?わたしは一体…」
     まるで夢でも見たいかのように、先ほどの形相とは打って変わっていた。
    「どうなってんだこりゃ…」
     停車していた運転手は、後ろの様子に気づくと、慌てて車を発進させていった。
      
    「危機一髪だったな。さすが桃真だ」
     倉持がスクランブル交差点を見下ろしている。妖魔対策室の桃真チームと倉持チームの面々は、スクランブル交差点を見下ろせるビルの上に立っていた。
    「え?何があったの?」
    「桃真さんが消えた…」
     裕子と響子は、いたはずの桃真が消えて困惑している。
    「只今戻りました」
    「えっ!?おわっと!!」
     不意にさっきまでいた方向と違うところから、桃真が現れた。
    「今のが桃真の能力、刹那斬りだ」
     錆びついた刀を桃真は納刀していた。
    「君たちは正式なメンバーになったから、仲間内の能力もある程度話しておこう。駿河桃真。あいつは一瞬で移動ができる能力を持つ」
     裕子はハッとした。出会った時、一瞬のうちに危ないところを助けられたことを。
    「ただ、一瞬で移動出来るだけで、残滅力はない。それを補うのが、あの刀というわけだ」
     裕子はマジマジと刀を見つめた。いつも袋に入れて持ち歩いていたが、そんな訳があったとは。
    「普段は錆びれた刀だが、妖力を込めると妖魔だけを斬れる刀と化す。君たちにこれまで桃真からそういった話は聞いてなかったようだが、君たちが信頼に足る人物であると見極める研修期間では、新人に話さないようにするという決まりがあったのさ」
     これまで戦いを見守るだけで、何もしなかったのは、訳があったのかと裕子は思い直した。
    「袋に入れておけば、木刀を持った剣道青年くらいにしか思われないし、警察に見つかっても、国家権力によってもみ消せるというわけだ」
    「そうだったのね…」
     裕子は半信半疑ながらも納得した。
    「桃真さんスゴイですっ!!」
     響子は説明を聞き終わると、桃真の手を握って感激していた。
    「俺は、いつものことをしていたまでだ…」
     冷静に返す桃真。
    「今回の敵は精神寄生型だった。大型妖魔に桃真は不利だが、あのくらいの妖魔には適している。数知れず妖魔が引き起こす犯罪や事件は多いのだが、こちらで探知できたものの処理には大変活躍してくれている」
    「桃真さんスゴイ!!」
     響子は桃真の体を揺らした。
    「そのうち政府直属の妖魔警護隊にて要人警護に配備される予定だ」
    「桃真さんスゴイイッ!!」
     響子は抱きついた。
    「でもそれって、私達とは離ればなれになるってことじゃない?」
     冷静な裕子の言葉に響子はハッと我に返る。
    「と、桃真さん!!離れ離れになっちゃうんですかっ!」
    「いつかその予定だそうだ」
    「そ、そんな〜」
     泣き崩れる響子。
    「そ、そうだわ!!スマホ、スマホ持っていますか?桃真さん!」
    「スマホ…。何かの食材か…?」
    「スマートフォンです!!携帯は持っていましたよね?」
    「ああ」

    「あれの進化版です!あれの中に入ってるアプリで、たくさんお話しできるものがあるんですよ!是非やりましょう!!」
     そのうち離れると聞くやいなや、今まで我慢してきたかのように、一気に攻勢を仕掛ける響子。
    「(そっか、居なくなるのか…)」
     裕子も内心少し寂しかった。
    「離れても、また集まりましょうね」
     瑠海も少し寂しそうに微笑んでいる。
    「うーん…どうやら俺たちのつけいる隙はなさそうだな…」
    「いやいや、まだまだワンチャンワンチャンこれからこれから」
     渋谷系の二人は何やら肩を組んで話し合っている。
    「やれやれ、これから親睦会に行くんじゃないんですか?」
     タメ息混じりに倉持。
    「お、いいのいいの?」
    「オレンジジュースだけならね」
    「メロンソーダはダメっすか!?」
     そんなこんなで親睦会に行くということで一行は盛り上がっていった。
      そんな盛り上がりから半歩後に、成宮真司は歩いていた。
    「ああいうノリにはついていけないか」
     見ると腕を響子にホールドされた桃真が話しかけていた。
    「え、ええまぁ…」
    「気にするな、俺も同じだ」
     桃真の後輩思いな一面を見て、響子はますます嬉しそうに腕に頬ずりしている。
    「ところで一つ気になったんだが…」
     ここから本題と言わんばかりに、桃真は真剣な目線を真司によこした。
    「本当に妖魔を懐かせるだけが、君の能力か?」
     真司はギクリとした。
    「今のところは…」
     真司は肩をすくめて愛想笑いを浮かべた。
    「そうか…。もしかしたら、君にはまだ未知なる力が備わっているのかもしれない。そんな気がしただけだ。あまり気にするな」
     この男、危険だな。真司は察した。
      
      深夜。夜の帳が下りた住宅街の一角にある豪邸。そこに成宮真司は住んでいた。
      地下室。怪しい光と生臭い匂いが漂っていた。
    「フフッ。僕により力を与えてくれとはね」
     足元で何かがうごめいている。人なのかそれとも化物なのか…。
    「新人研修とは、よく言ったものだ…」
     真司は気づいていた。妖魔対策室は単に能力者を採用しているだけではないことを。
    「もし、その能力者が危険な存在なら、始末する…。恐ろしい組織だ…」
     部屋の奥に、後ろ手に縛られて猿ぐつわを噛まされ必死の形相で何かを訴えようとしている男女が裸で数人いる。
    「しかし残念だったね、こんな僕を組織に入れてしまうなんて」
     かがむと、何もないところに手をさすっている。
    「いい子だ。よく取ってきたね…」
     そういうとなにもないところに真司が指を入れると、いつの間にか光のようなものを掴んでいた。
    「これが妖魔の心。妖魔である思い出…」
     ニコリと笑うと、一人の男の胸に、それを押し込んだ。男は何かとてつもない物を体内に注入されたかのように、死にものぐるいで体全体を使って拒んだ。
    「さて、今度は成功するかなぁ?」
     全身を痙攣させていた男が、急におとなしくなった。
    「よっと。ここで慎重にこうやって…」
     真司は男の胸の中に手を入れて、何かを探っていた。
    「うぐぅっ!?」
    「ここか」
     そういうと目をつむり、何かをまさぐった。
    「そう、そう…そうやって…いい子だ…」
     何かを感じ取るように、まるで聴診器をあてがっているようにしている。
    「あっ…あっ…」
     そう声を上げたが最後、男は身動きしなくなった。真司はゆっくりと立ち上がると、うなだれた男を見下ろした。
      まずは目。目玉が徐々に飛び出してゆき、むき出しになった。まぶたはまだその細胞変化に対応できていないのか、その目の周りでピクピクさせるだけだった。口は尖っていった。硬質な何かに変わっていっている。腕や顔には、無数の毛が生えてきた。
    「おおっ」
     真司は目を見開いた。
    「とうとう成功したか…妖魔と人との融合が…」
     さっきまで苦しんでいた男は、上半身が顔を殴られた鶏のようになっていた。
     それを間近で目にし、恐怖におののく他の人々。部屋をよく見ると、実験に失敗したであろう、人のような形をしたものが無数に横たわっていた。
    「くっくっくっ…」
     真司は笑いをこらえきれなかった。
    「さぁ、始まるぞ…。新しい世界が…」
     満面の笑みを浮かべた。

    「まずはお前からだ…。駿河桃真…」
      

     第4話 「蠢くもの」 

     

     美少女戦士まほうしょうじょ編 おわり

    葉風 * お話 * 22:24 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

    美少女戦士まほうしょうじょ 第4話 その3

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      「おし、じゃあ集まったな」
       とうとう室長が語り始めた。
      「今回集まってもらったのも他でもない、この組織のことについて、新人にも分かるように説明しようと思う」
       やっとか。裕子はこれまでの3ヶ月を振り返った。よくもまぁ、得体も知れない組織でやってこれたものだと。それもこれも実際に銀行口座に200万円、300万円と月々振り込まれていたからだった。しかもマニュアル化されているのか何かしらの能力なのか、家にスーツを着た国家公務員らしき人物がやってきて、両親をものの数分で説得してしまった。裕子がしっかり世の中のためになるようなことをしていて、お金を稼いでいるということに納得している様子だった。

       本部の情報は機密事項ということで明かされていなかったが、その手際の良さと桃真の瞳を見ていると妙な説得力があった。実際に目の前に繰り広げられる奇々怪々な出来事を見てしまうと、ちょっとやそっとのことでは驚かなくなっているのも確かだ。そんなこんなでなあなあになっていたこの組織のことについて、とうとう明かされる。、裕子はいささか緊張した。
      「今お前たちが集まったこの場所。その名はズバリ、妖魔対策室だ。表向きは文科省だか科学技術賞だかの管轄下にあることになっている。予算もそこからおりている。まぁそこら辺はあまり首を突っ込むといろいろと問題が起きるから、あえて説明はしない。大事なのは国が秘密裏に妖魔対策を進めていて、こういう組織が出来上がったということだ。俺達には独立した権限が与えられている。時には総理大臣さえも動かすくらいのな。何故それだけの権限が与えられているかは、みんなも知っている通り、妖魔だ。時々奴らは人間に危害を加える。それが物理的なものだったり、精神的なものだったり、様々だ。俺たちはそういった害のある妖魔を退治する係を任せられている。要人に妖魔がとりつかないように、密かに警護をしていたりする。まぁ中にはすでに取り憑かれているような奴もいるがな」
       室長は一人苦笑した。
      「妖魔は太古の昔、記録によると平安時代から日本では研究が進められているとある。安倍晴明もその一人だ。今分かっているのは、どうやらこの人間や動植物たちが住む現界とは別に、霊界、天界、そして妖魔界があるということまで突き止められた。よく生死の境をさまよっていたという人間が決まって、お花畑にすでに亡くなったはずの人達がいて、手招きしていたり、こっちに来ては行けないと追い返そうとしたりする夢を見たということがある。これは、人が死んで一旦霊界を通るために起きる現象だということがこれまでの研究で分かっている。まぁ中々行けるところでもないので、研究もあまり進んでいないがな。どうやって研究しているかも極秘だ。そこで、少しだけ分かっているのは妖魔は現界から霊界をまたいだ妖魔界というところにいるということだ。妖魔界は冥界とも言われている。この世ならざるモノの住む地だ。本来、妖魔は霊界が緩衝界となり、めったに現界には現れない。しかしその滅多が起きる場合がある。そこで俺達の出番だ。人間でも霊魂でもない、この世ならざるモノ。悪さをする奴いれば、現界から叩き出す。本来いるべき場所ではないからな。まぁ中には、そこの若いのと俺のみたいに、人間になついてくるものもいる。そういう奴らは研究に役立つから、大いに活用する。妖魔は世界中の伝承やおとぎ話の中に登場する。一説には、ドラゴンも妖魔の一種だと言われている。だから目に見えるものと見えないものとがいたりするわけだ。と、こんなに喋っちまったが、ここまでついてこれてるか?お前ら」
      「要は邪魔な妖魔をぶっ潰せばいいんだろ?」
       渋谷系の身なりをした田中徹が、意気揚々とシャドーボクシングをしてみせた。
      「まぁそういうこった。悪さをする妖魔が現れる、そいつを倒す、お金をゲット。そういうわけだ。もちろん命を危険に晒すこともある。いくら大金がもらえるからといって、割にあわないと思えば、いつでも辞めてもらっても結構だ。まぁ本音を言えば一緒に戦ってくれと言いたいわけだが、強制的に戦わせてもかえって足手まといになる可能性が高いからな。後、一応人権ってやつもあるしな。ここに集まってくれたみんなは、すでにそういうことを了承済みということでいいんだよな?」
       もちろん、とうなずくもの。緊張した面持ちでうなずくもの。裕子も覚悟を決めてうなずいた。
        「現界に出てくる妖魔はそれほど強い奴らではないから、俺達人間でも、妖魔界とつながる能力を持っていれば、退治は容易い。Eランク級といったところか。その代わり、多種多様な妖魔がいる。害のないやつから、心に取り憑くもの、様々だ。だから念の為にお前たちには基本的にチームで動いてもらっている。中には強くて一人でやっていってる奴らもいるがな。その他、妖力についての詳しい情報などは、後々研修を受けてもらう。とりあえず今回の集会で、お前たちは正式な組織のメンバーに格上げされた。これからもよろしくな」
        ニコッと室長はメンバーにほほえみかけた。
        
      「ほえ〜。実際にこういったちゃんとしたところがあるのね」
       集会がおわり、ロビーにあるソファで、室長以外のメンバーと一緒に裕子は腰掛けていた。改めて見ても、金銀宝石きらびやかな内装が光って眩しい。おそらく、この怪しい組織の信用力を高めるためのものなのだろう。普通なら怪しい詐欺組織を疑うところだが、妖魔退治に慣れてしまった裕子には納得するところだった。
        「なあなあ、これから親睦会開かねえ?」
        渋谷系のもう一人、山田篤がみんなに呼びかけた。
      「おお、いいねいいね〜。みんなで絆深めちゃおーよ」
       もう一人の田中徹もノリノリだ。二人ともウキウキと立ち上がった。それは何となく、女子高生と飲んで、あわよくば…という下心が透けて見えている。特に長谷川さん目当てなのか、見ないようにしているが、彼女のことをチラチラ意識しているのは明らかだ。
      「そうですね、オレンジジュースで乾杯、ということなら許可しましょう。未成年もいることだし」
       生真面目そうな倉持が、メガネの端をクイッと上げながら言った。
      「おっしゃ〜!!今からどこ行く?しぶやっちゃう?」
       本当に了解したのか、ノリノリでスマホを検索して、予約を取ろうとする二人。
      「飲み会かよ。それなら俺も混ぜろよ〜」
       室長室から、シワが寄った白衣をなびかせながら、室長が出てきた。
        「お酒は出ませんよ」  
        「はいはいわかってるわかってる」
        「そう言って、この間もこっそり途中からお酒を注文してましたよね」
        「倉持、お前相変わらず固いなぁ。固くするのはアソコだけでいいのにな?ガハハ」
        渋谷系の二人には受けているようだが、他の人間の反応は冷ややかだった。
        「それにしても桃真、お前も隅に置けねえな。こんなに女の子ばっかり連れてくるなんてなぁ」
        室長はニヤニヤしながら肘で小突いた。
      「それもこれも、俺のアドバイスがあったればこそだな。うんうん」
       意味深な発言に、裕子は眉をひそめた。
      「そういえば、皆さんはどうやって揚力を得る契約を得たんですか?」
       響子がワクワクした顔で、率直な質問を投げかけた。一瞬、裕子は慌てふためいたが、周りの反応は至って冷静なものだった。
        「へっ?普通に肩に触れられながら、契約交わしたけど」
        「俺は腕だったわ」
        渋谷系二人組はそろってそんな答えを示した。
      「へぇつ!?」
       期待していた答えとは違い、至って普通の回答をよこした二人に、響子は毒気を抜かれた。
      「んっ?どうやらやり方が俺達とは違うのか。てっきりみんな、こ…」
      と言ったところで、裕子は慌てて桃真の口をふさいだ。
      「なんでもないですのよ〜。オホホホ」
       急にわざとらしくなった裕子が取り繕った。
        裕子は桃真の耳元に手を当てた。
      「ちょっとちょっと、どういうことよ!他の人はあんなことしてないって言ってるわよ!」
       裕子の目つきが鋭くなった。
      「はて…そんなことを言われても…俺は室長の言いつけ通りにやったまでだが…」
       ちらっと見ると、室長は自室にこっそりと帰ろうとしていた。
      「ちょっと話を聞かせてもらえますかぁ〜っ!!」
       ガッシリと室長の肩を掴んだ裕子は、怒りに震えた声で呼び止めた。
        
        室長室。まるで取り調べを受けるように、椅子に座った室長を裕子、響子、瑠海、桃真が取り囲んでいた。特に裕子は鬼の形相だ。
      「いやさぁ、桃真ってさ、朴念仁じゃん。だからさ、ちょっとは女の子とチョメチョメすれば、少しは話の分かる奴になるかと思って、桃真だけ特別に別の契約の仕方を教えてやっただけさ」
      「だからってあれはないでしょ!」
       裕子は契約をした時の恥ずかしさ、苦労を思い出していた。
      「まぁそんなに桃真は乱暴なやつじゃないし、優しかっただろ?」
      「優しいって…室長さん、あなた何も知らないの…?」
      「何もって?」
       裕子は恥ずかしながらも、出会ってすぐにパンツを下ろされたこと、他の二人とも、恥ずかしい思いをして契約したことを怒り混じりに話した。
        話の途中から、室長は笑いのツボに入ったのか、腹を抱えた。
        一通り聞き終えると、笑い疲れた顔を起こした。
      「いやぁ、まさか、そんなことをしたとはな。あっぱれ、あっぱれ過ぎるぞ桃真…」
       そう言うと、笑いをこらえきれず、室長はまたしても笑い始めた。
      「笑っている場合じゃない!」
       裕子は強い口調で叱りつけると、机を叩いた。
      「こっちがどんだけ恥ずかしい目にあったか…。この朴念仁にそんな司令を出せば、そうなることぐらいわからなかったんですか!」
      「いやまぁ、普通ああ言えば、女の子とチョメチョメするために、いろいろと努力するかなぁと思ったんだけどな。まさか直接触りにいくとは…」
       笑いをこらえながら、室長は答えた。
      「まぁそれでも何とか仲良くやってるじゃない。実はまんざらでもなかったりして…」
      「い・い・加減にしてください」
       裕子がドスの利いた声で、室長を睨みつけた。
      「室長のそんなに深い配慮があったとは…。裕子すまない。俺の修行が足りなかったばかりに…」
      「全くよ」
       何の修行だと心の中で突っ込みながら、桃真を睨みつける裕子。もっとまともに出会っていれば、もっと素直になれたかもしれないのに。しっかりと叱りたかったのだが、本当にすまなさそうにしている桃真を見ていると、怒る気が削がれていった。
      「私は別に気にしてないですから。桃真さんも一生懸命だったこと、私、分かってますから」
       必死に桃真へ理解を示す響子。
      「私も気にしてないわよ。かなり恥ずかしかったけど…」
       ハニカミながら、桃真を許す瑠海。
        そんな二人を見ていると、怒っている自分が心の狭い女みたいだと思えてしまい、裕子はおずおずと怒りの矛を収めた。
      『ギュイーーン』『ギュイーーン』
      『緊急指令、緊急指令。渋谷スクランブル交差点付近にて、危険妖魔度増大。対妖魔室員は直ちに現場に急行せよ。繰り返す…』
      「おっと、指令だ」
       ちょうどいいと言わんばかりに、室長は話を切り替えた。
      「どうやら直ちに人に危害を加えそうな妖魔をこちらで探知した。正式メンバーになった初陣だ。お前たち桃真チームは、直ちに現場に急行せよ!」
       さっきまでの砕けた顔とは打って変わって、真剣な面持ちの室長が号令をかけた。
      「はっ!了解いたしました!直ちに現場に急行します!」
       裕子たちも慌てて、桃真の後に続いた。
       

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      美少女戦士まほうしょうじょ 第4話 その2

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         東京都内某所。ひと気のない路地裏へ、裕子たちは桃真に連れて来られていた。ポロポロで今にも表面が崩れ落ちそうな壁、雑草が裂け目から生えているアスファルト。長いこと人払いの結界を張っているのか、あまり手入れをされていないところだった。まったく生活音も話し声も聞こえず、静寂だけが支配している。
        「本当にこんなところに、妖魔対策室の本部があるんでしょうねぇ」
        「あぁ、本当だ」
         裕子の疑念も物ともせず、桃真はずんずんと進む。角を曲がった。
        「変なことでもしようとしてんじゃないでしょうねぇ」
         もちろん、そんなことをするような奴とは思ってはいない。
        「え、桃真さん変なことしちゃうんですか」
         期待に目を輝かす響子。
        「桃真くん、変なことしちゃうの?」
         からかい気味に尋ねる瑠海。
        「変なことってどんなことだ?」
         一番無垢な応えに、押し黙る裕子たち。
         と、今度の曲がり角の先は赤錆びて古ぼけた80年代以前と思える自動販売機が置いてあるだけで行き止まりだった。
        「何もないじゃない」
         あたりを見渡すが、本部の入り口らしきものは見当たらない。おもむろに桃真は定期入れを取り出した。すると、その古ぼけた自動販売機に押し当てた。
        「そんなの反応するわけ…」
         ピッ。音を立ててその自動販売機は反応した。そのまま一番右端のボタンを押したまま、何回か釣り銭レバーを引くと、自販機にあるルーレットが回り出した。
        『大当たり〜』
         当たりの表示でルレットが止ると、派手な効果音が静寂を引き裂いた。
        「行くぞ」
         桃真は自販機の取っ手に手をかけると中を開けた。入り口はそこにあった。薄暗い照明に当てられて、地下へと続く階段が現れた。あっけにとられている裕子たちをよそに、桃真はすたすたと降りていく。
        「ちょっと怖いわね…」
         そう言いつつも、桃魔を信じて裕子たちは後に続いた。

         階段には電灯もありただのコンクリート造りだし、特に目立ったところもない。地下3階ほど降りたところで扉が現れた。重そうな扉がどっしりと構えている。脇にある端末機器に何やら手のひらを乗せている。しばし待つと、重い扉の隙間から光が差し込んできた。はじめに飛び込んできたのは緋色の絨毯。その上には明治時代を思わせるような和洋折衷の調度品が整えられていた。まるでどこかの迎賓館か何かのように豪華だ。
        「うぁ…すごい…」
         裕子たちはあっけにとられた。妖魔対策室というのだから、なにかおどろおどろしいものか何かがあるのかと身構えていたのだが、別の意味で驚いた。感心しきっている裕子たちに音もなく人影が近寄ってきた。
        「お待ちしておりました。駿河さん」
        「わあっ!?びっくりしたぁ…」
         裕子のそばにはいつの間にかメガネを掛けた着物姿の女性が立っていた。
        「事務員の畑ハルさんだ」
         桃真に紹介されると、ハルはペコリと頭を下げた。裕子たちも気を取り直して頭を下げた。どうして桃真といい、こんなにも気配を消して動けるのか、裕子はこれもここでの訓練によるものなのかと納得した。
        「室長室で室長がお待ちです」
         噛みそうな言葉をするすると静かに話すハル。
        「あぁ、確か倉持さんも来ているんだっけ」
        「はい、一緒に説明をしたほうが手間が省けるということで駿河さんが来られるのを待ってます」
        「そうか、畑さんありがとう」
        「いえ…」
         そう言って桃真を見送ったハルの視線が、今度は裕子たちに注がれる。何となく視線が冷たいのはもしかして桃真に気があるのかな?と思いつつ桃真に続いた。
         そういえば、と裕子は桃真に慌てて話しかけた。
        「ちょっと、他の人達も来ているなんて聞いてないわよ」
        「そういえば言っていなかったな。どうせ後々会うこともあるんだし、別にいいだろ」
         桃真はよくても、裕子にとってはよくなかった。だって…あんなところを触られたってことを相手にも知られるんだし、できるだけ会う人は少ないほうがよかった。
        「いくぞ」
         そう言うと、室長室と書かれたドアを桃真はノックした。
        「おう、入れ〜」
         陽気でしゃがれた声の男が促した。ドアを開けると綺麗なさっきの部屋とは打って変わって、所狭しとものが並べられている。海外土産かどこかの国の怪しいお面であったり、トカゲの丸焼きだったり、何かとホルマリン漬けだったり、何やら百科事典並みに分厚い本が積み上げられていたり、見事に汚い部屋だった。
        「よ〜し、来たなぁ」
         手前にいる若い男4人組の奥に、無精髭を生やして頭がもじゃもじゃな白衣の男がいた。一応室長室にありそうな立派な机と椅子がある。入るのをためらっている裕子たちに男は手招きした。
         すでに桃真の言う倉持という人達も来ていた。先頭に立っていかにもその人が倉持さんと分かるようなスーツ姿で落ち着いた様子。一人はどこかの高校の制服を着た美青年。もう二人は渋谷にいそうないまどきのファッショに身を固めている。
        「わぁ!かっこいい!!」
         そばで響子が美青年に感嘆の声を上げた。まったく響子ってば…、と見やるとゴメンというふうにチョップを掲げた。青年の方はいつもの事のように涼やかに受け流している。
        「あ、でも一番かっこいいのは桃真さんですから」
         小声で桃真に言ったが、桃真はどうでもいいようだ。
         ふと、そこで裕子は気づいた。
        「(わたしたちがあんなところを触られたんだから、この人達も…!?)」
         顔が熱くなり、耳まで真っ赤になるのを感じると、あらぬ妄想が裕子の頭を駆け巡った。
        葉風 * お話 * 10:43 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

        美少女戦士まほうしょうじょ 第4話 その1

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            夕暮れ。都内某所の高校。男子生徒が美術室で、一人キャンバスに向かっている。まるでずっと絵画を描いて暮らしているベテランの画家のような落ち着きがある。
           と、入り口の扉が開かれた。夕暮れの静寂を破って入ってきたのは、同級生の女の子だった。
          「あ、こんな時間までやってたんだ。今日は早上がりだからみんな帰っちゃったよ」
           嘘だった。彼は学年でも1,2位を争うほどの美男子で、寡黙でミステリアスな雰囲気を漂わせることも相まって、女子人気は高い。美術部員で美術室に今こもっていることを知った彼女は、友達に内緒で抜け駆けして来たのだった。
          「(悪いわね…みんな…。でもこのチャンスを逃す手はないわ)」
           平静を装いつつも、胸の鼓動は高鳴っているようだ。
          「何を描いてるの?」
           彼は窓の外を見ながら描いている。どうやらこの教室から見える景色を描いているようだ。質問に答えず黙々と続けている彼をよそに、できるだけの満面の笑みを保ちつつ、キャンバスを覗きこんだ。
           それは地獄絵だった。夕暮れに染まる街並みとは違い、漆黒と紅蓮の炎に巻かれた街並みが描かれていた。よく見るとおよそ人の形とは似つかない、怪物がところどころに描かれている。しかも精密に情感を込めて。画力の高さも相まって、彼女は気後れした。
          「そ、それって何の絵…?もしかして、何かの物語の一場面?」
           気を取り直すして質問。そう言うと彼は筆を止め、静かに言った。
          「風景画だよ」
          「え…どこの…?」
          「ここの」
           彼が目向ける方向は明らかに窓から見える街並みだ。
          「君には見えないの…」
          「ごめんなさい…」
          「そう…じゃあ、この肩に乗っているものも見えないよね」
           肩?何もないよ?大丈夫??
           ミステリアスだとは思っていたけど、まさかこんなに電波だとは…。少し頭を悩ませつつも、それが逆に彼への好奇心を煽っていることを感じていた。
          「そう…」
           言うと彼はまた描き始めた。黙々と。黙々と…。
           邪魔をすることを感じつつも、彼女はたまらず切り出した。
          「そろそろ帰らないと門が閉まっちゃうよ?」
           できるだけ笑顔で。できるだけ笑顔で。彼女はキャンバスの横に顔を持ってくると、必死にアピールした。
           と、彼の筆が止まった。
          「君、綺麗なものを持ってるね…」
           今まで全くそばにいる同級生女子に興味を示さなかった瞳の向きが変わった。
          「え…」
           そのまま蔑ろにされると思った彼女は突然まっすぐに見つめられて、戸惑い目が泳いだ。
          「綺麗だ…」
           顔が熱くなっている…。このままキスでもしかねない雰囲気だ。他の男子なら悲鳴を上げてピンタをかましているところかもしれないが、相手が意中の彼なのでむしろ大歓迎だ。このまま壁まで追い詰められて無理やりされるのも、押し倒されてされるのもオールOK!どんと来いや!体は強張りつつも、期待に胸を躍らせていた。
           と、胸を触ってきた。おっぱい。左胸に触れてきた。キスより先になんて大胆…!
          「(みんな、ごめん!わたし、一足先に大人の階段登る!)」
           覚悟を決めて、その感触を受け止めた。
          「君の思い出をもらうよ」
           思い出をもらう…?うーん、それってそれって、処女をもらうってこと?困惑しつつもとりあえずうなずいてみせた。
          「じっとしててね」
           目をつむった。これからそれ以上のことをされるんだから…と、恥ずかしさと嬉しさの入り混じった気持ちがみなぎった。
          「僕は人の心をつかむことの出来る能力があるんだ…」
           確かに私の心はあなたのものです〜っ!彼女は心で叫んだ。
          「それには、こうやって相手に説明しなきゃ、どうやら発動しないようなんだ」
           何を言ってるのか、それって『HUNTER◯HUNTER』で見たよ!と心の中でツッコミを入れつつも、うんうんとうなずいた。
          「そしてこうやって左胸に一分ほど手を当てていないといけない」
           もう心臓の音が相手にも聴こええしまうんじゃないかと思うくらい高鳴っていた。
          「そうすると、君と一体になれる」
           一体…!!嬉しい!!喜んで!!もう心はウキウキだ。
           と、何か胸に違和感を感じた。まるで胸の中をまさぐられているような、手が体の中に入ってきているような感覚…!?
           目を開けて胸を見る。彼の手が指がない!いや、どちらかと言うと彼女の体の中に埋まっていた。
          「おっと、叫ばれると面倒だから、すこし頭をいじくらせてもらうよ」
           すかさず左手を頭にやると、彼女の頭は麻痺をした。叫びたくても叫べない。口を金魚のようにパクパクとさせている。
           何も考えられない。
           彼女は彼のされるがままに体の力を抜き、腕が垂れ、よだれも垂れていた。もしかしたら気持ちいいのかもしれない。そう思わせるくらいに彼女は意思に関係なく、体が空っぽになった。

           夜の帳が下りた、午後9時。学校を見回りしていた用務員のおじさんに、美術室で呆然と座っているところを見つけられ職員室で保護されていた。
          「愛美!」
           生徒手帳から割り出した連絡先を頼り呼び出した、両親が彼女のもとに駆け寄った。
           名前を呼ばれても何の反応を示さない彼女は、ただ天井の一点を見ている。抱きしめた両親に気づくと、ポツリと呟いた。
          「あなた達は誰何ですか…?わたしは…誰何ですか…?」
          「さっきから、ずっとこの調子です…」
           頭を抱えた担任の先生は両親に彼女の現状を説明した。
          「愛美!私よ!お母さんよ!」
          「お父さんだぞ!分かるか…!?」
          「あなた達は誰何ですか…?わたしは…誰何ですか…?」
           同じつぶやきを繰り返す。
          「愛美ーっ!!」
           母親は泣き叫びながら抱きしめ、父親は信じられないというように手で口を覆った。

          「よかったね。最近両親と喧嘩ばかりしていたようだけど、これで改めて家族の絆を認めることが出来たね」
           彼はまるで素晴らしい善行でもしたかのように、晴れ晴れとした笑顔を見せた。
          「おいしいかい」
           肩に話しかける。そこには何もない。
          「食いしん坊だな。まぁ、久々の食事だから無理もないか…」
           しょうがないと、かわいいイタズラを叱るように話す。
           肩には何もない。
           彼は帰路についた。

           それから数キロ。ふと、街中であるにも関わらず周りに人の気配がないことに気づくと、彼は足を止めた。
           リーン。鈴が遠くで鳴っている…。しかもそれは徐々に近づいている…。誰もいない街中で、それは怪しく鳴り響く。
           警戒していると、前方から3人組の男が現れた。二人は近頃の若者らしい気軽でおしゃれな服装、もう一人は黒のスーツに青のシャツ、白のネクタイに身を固めている。
          「おや、人か!?」
          「おい、あいつ、肩に妖魔を乗っけてるぞ!」
          「ほう…妖魔使いか…室長くらいだけだと思っていたけどめずらしい…」
           彼はその3人組を怪しいと思うよりも先に、肩に乗っているポチに気づいていることに感動した。
          「見えるんですか…!?僕の肩に乗っているものが!?」
          「ああ、モチのロンよ」
          「お前、高校生か」
           おしゃれな服装をした二人は、気さくに話しかけてきた。
          「いきなり訪ねてきてすまない。我々は、君のように妖力を持った人間をスカウトする機関から派遣されたものだ」
           そういうとスーツ姿の男は名刺を差し出した。「妖魔対策室 倉持健吾」。シンプルな白地に黒字のデザインで簡素に役職・名前・携帯番号が書かれている。
          「人間に害をなす妖魔を退治したりするのが我々の仕事だ。もちろん、君の妖魔のように人と親しくできる妖魔は退治しないがね」
           彼はギクリと心に音をたてた。ポチは人の思い出を食い物にする…。
          「無理強いはしないが、我々と来ればその妖力の使い方をより高めることができる。それにお金もたくさんもらえるぞ」
           妖力の使い方…!?今まで我流で使ってきた彼には、興味のある内容だった。しかし、自分の能力を知られるおそれも兼ね備えている。知られれば、どうなるか…。
          「分かりました。お受けします」
           しばらく考えた末、彼は決断した。人の思い出を抜き取る能力は隠しつつ、妖魔対策室なる組織のノウハウを会得しようと決めた。
          「おう!俺は山田篤。これからはよろしくな!」
          「俺は田中徹。俺達は仲間だぜ!」
           陽気に迎え入れる二人。
          「そういえば、名前をまだ聞いてなかったな」
          「あ、僕の名前は成宮真司って言います」
           あくまでもいたいけな力のない少年で。
          「成宮真司くんか…。よし、じゃあここに簡単な連絡先をかいてくれ」
           健吾から差し出された手帳とボールペンにさらさらと書く。
          「よし、じゃあこれからちょっとした儀式を行う」
          「ちょっとした儀式…?」
          「なぁに簡単な事さ、すぐ終わる。なのに君の能力を大きくするものさ」
           健吾は爽やかな笑みで応えた。
          葉風 * お話 * 12:37 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

          美少女戦士まほうしょうじょ 第3話 その8

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             「げえ!こんな大してうまくもない普通の焼きそばに300円もとる気か!こんなんタダだろ!タダ!なめてんのか!」
             ガラの悪い文化祭の客は止めどなく出ていた。
            「こ、高校の文化祭なんだから、そこら辺は大目に見てくださいよ」
             対応に追われている生徒はすっかり怖気づいている。
            「ちょっとあんた、大人げないよ」
             クラスの担任が肩を掴んだ。
            「ああん!?てめえ誰の肩に手ぇ置いてんだ?こら?教職員が来校した一般人に暴行か?教育委員会に訴えっぞ!!」
             周りの人間もこの迷惑な客を持て余していた。せっかくの文化祭の雰囲気を台無しにされて、殺気が渦巻いている。
            『ピンポンパンポーン♪』
             と清涼剤のように、気の抜けた校内放送の効果音が鳴り響いた。
            『「歌います」』
             それは長谷川瑠海の声だった。
            『「うさぎおーひし かのやーまー♪」』
            「え?なんだ?ふるさと…?」
            「誰が歌ってんの?」
            「何だ突然!?」
            『「こぶな釣ーりし かのかーわー♪」』
             突然の校内放送。そして童謡のふるさと。人々は驚き戸惑った。
            「うわぁあああ!!」
             今まで因縁をふっかけてきた客が突然頭を抱えて苦しみだした。どうしたものかと周りの客が興味本位で取り囲んだ。
             しばし塞ぎこんでいたその客はおもむろに立ち上がった。
            「あれ?俺どうしたんだ…?焼きそば…」
             手に持っていたまだ温かい焼きそばに気づいた。
            「おいくらですか?」
            「さ、300円になります…」
            「さんびゃくえん…と…ほい」
             気軽にお金を出すと、まわりが自分に注目していることを不思議そうに見やりながらさっそうと教室を出て行った。
            「あ、ありがとうございました…」
             唖然と一同は見送った。

            「うむ、どうやら効いてるな」
             さっき取り出したときはどの方角に向けても鳴っていた妖魔探しの鈴が、ある一定の方角にだけに反応するようになった。
            「これで本当に良くなったの…?」
             放送室。白衣を着た長谷川瑠海が、マイクの前でおずおずと尋ねてきた。
            「ええ。ありがとう長谷川さん」
             裕子はグッと親指を立てた。
            「いくぞ!」
             言うなり、桃真は廊下に飛び出した。
            「あ、はい!」
             続いて響子。
            「長谷川さんも一緒に来て!」
             出入口で振り返る裕子。
            「もう、なにが何やら…」
             瑠海は不承不承についていった。
            「放送部の人、ありがとね」
             放送部の面々はよく分からずも、人助けして満足気に笑顔で見送った。

             校舎裏の雑林。鶏の体に人間の足の生えた妖魔がうずくまっていた。人間に植えつけた手下の妖魔の反応がたちどころになくなって、宿主たる鶏人間の妖魔は困惑した。しかも先程の放送で流れた歌を聞いてからというもの、頭痛がして体が重い。
            「うぅ…コケーコッコッコ」
             そうそうに立ち去らなければ、危ない気がする。妖魔はヨレヨレと立ち上がった。
            「おっと、そこまでだ」
             いつの間にか、前に見知らぬ人間が立ちはだかっていた。紺色の学ランに、刀袋から刀の柄が覗いている。
            「コケッ!?」
             慌てた妖魔は飛べもしない羽を羽ばたかせた。
            「逃さないわよ〜」
             裕子が空を掴むと、妖魔は何かに縛られたように動きを止めた。
            「コ、コケッ?!」
             分けも分からず、バタバタともがく。
            「響子!」
            「OK!焼き鳥にしてあげる!」
             響子の手から火炎放射より巨大な炎があがった。
            「う…そ…」
             瑠海は目の当たりにした光景に目を瞬いた。
            「コケーーーッ!?コッケェェェエェ!?」
             しばらくすると、妖魔は消し炭になった。
             瑠海は目の前の出来事を未だに信じられない様子で口をぽかんと開けていた。
            「か、火事ならないの…!?」
             と周りを見渡しても、どの木にも燃え上がっている様子はない。
            「大丈夫よ。私たちの出す力は、基本的に妖魔にしか効かないの。長谷川さんの場合は、出す声に妖魔だけに聞く音波なのがあるみたいね」
            「そうだったの…」
             信じられないが目の前で実際に奇っ怪な生き物を見て、クラスメイトが見せたいつもとは違う姿も見て、信じざるおえなくなった。
            「今日の文化祭荒らしの人たちはあの妖魔に邪な心を植え付けられていたの。妖魔は度々人間界に現れては、ああいった害を及ぼしてるの。そして長谷川さんはその妖魔を退治する力がある…。いきなりで悪いけど、世の中の被害が少なくなるように、長谷川さんも力を貸してほしいの」
             裕子は真剣な面持ちで説得した。
             瑠海は顎に手を当ててしばらく考えると、
            「分かったわ。私もああいったことで人知れず、困ったことになっていることは見過ごせない!協力するわ」
             覚悟を決めた前向きな笑顔で応えた。

               第3話「3人目の仲間」おわり
            葉風 * お話 * 14:37 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

            美少女戦士まほうしょうじょ 第3話 その7

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              「前に言ったが、妖魔には人の心に巣食うものがある。今のがそれだ」
               目の前で消えていった小さな妖魔の後を桃真は見やった。
              「たしかにそんなこと前にも言ってたわね…。人の心に巣食う…怖いわね…。こういうことってよくあるの?」
               心配げな裕子。
              「実を言うと人には多かれ少なかれ、妖魔が宿っている」
              「えっ」
              「とは言っても人に害を及ぼすものは全体の2割といったところだ。ここのところはまだ研究されてるところだが、乳酸菌や益虫みたいに人に有益なものと人の体や精神に有害なものとどちらにもならない無害なものとがあるらしい」
              「へえ」
              「一説にはもともと無害な妖魔が心のあり方の影響受けて、有益にもなり有害にもなるらしい。詳しいことはまだわからないがな」
              「って私たちの心の中にもいるの?」
              「ああ、おそらく。もっとも、そのおかげで俺たちは人間でありながら妖魔に対抗しうる力を持ち合わせているんだがな。妖魔も人の心が生み出す力を少しばかりもらって生きているらしいがな」
              「へえ、持ちつ持たれつってわけね」
              「ただ元々持っている妖魔とは別に、外からやってくるものもある。寄生虫のように、妖魔が散布しているものもある。今のはそれだろう。苦しくなって体の外に逃げようとしたようだが、あの長谷川とか言う女の音の力でどうやら力尽きたようだな」
              「あっ、だからあの人達って乱暴だったのね」
              「ああ、どうやら彼女には人にとって有害な妖魔を退治したり、無害なものに変える力があるようだな」
              「あそっか、だから長谷川さんに敵意を持っていた子も、急に好意を持ったりするのね」
              「う、うらやましい…」
               響子がうめいた。
              「と、桃真さんも長谷川さんのこと好きになったりしましたか…?」
              「?いや、ただの女だが?」
              「よかったぁ…」
              「ただの女って…」
               そういう認識で人を見ているのかと、呆れ気味になる裕子。
              「さて、問題はその発生源がどこにいるかだが…」
               言いかけたとき、近くを通りかかった人の妙な会話が耳に入った。
              「ドリンクコーナーでもいちゃもんつける奴らがいたみたいだぜ」
              「げぇ、まじか。体育館で軽音楽部の演奏を邪魔した奴らもそうだし、文化祭荒らしか何かか?」
              「わかんねえけど、マジで迷惑だよなぁ」
               聞くと桃真たちは目を合わせてうなずいた。
              「どうやらこの近くに発生源があるようだな」
              「人の学校の文化祭を荒らしちゃって…絶対退治してやるんだから!」
               いきまく裕子。
              「ちょっと、裕子たち、話はこっちが終わってからにしてくれない?」
               メイド喫茶のクラスメイトが困ったように呼びかけた。
              「あ、ごめん!」
              「桃真さん、もうすぐで終わりますから」
              「ああ。終わったら長谷川という女に声をかけて来てくれ」
              「えっ」
              「今回は彼女が役に立つだろう」
              葉風 * お話 * 20:51 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

              美少女戦士まほうしょうじょ 第3話 その6

              0
                 「よし、今日はじゃんじゃん稼いで、派手な打ち上げにしよう!」
                「「おお〜〜!!」」
                 教室の中で軽く円陣を組むと掛け声とともに気合を入れた。
                 文化祭当日。裕子のクラスも滞り無く準備は整っていた。高校での文化祭ということもあり、クラスの出し物で出した売り上げは、打ち上げで全額使うという学校の決まりがあった。自分たちの出し物にお客さんが来るかどうか、各々そわそわ緊張している。
                「ちゃんと客来るかなぁ」
                「来るっしょ。うちの女子、割とレベル高いし。何より校内でもトップクラスの長谷川瑠海が猫耳メイドをしてるんだぜ。ぜってえ、うはうはよ」
                「そうだな!うししし」
                 クラスの男子が千客万来を期待していやらしい笑いをしている。
                「準備は万端ね。はじめはオタクっぽくて、ステレオタイプな猫耳メイドなんて嫌だったけど、こうやって始まってみると悪い気はしないわね」
                「クラスの男子が調子に乗って決めてから、大分女子の意見を取り入れさせたからね。あのままだったら、もっといやらしい感じになったかも」
                「そうね。内装も可愛く出来たし。結果オーライって感じかな」
                 クラスの女子が雑談をしつつ、心の準備を整えていた。

                 チャイムとともに校門は開かれた。裕子の通う県立水人高校の文化祭は招待制だ。生徒が学校から渡されたチケットを使って、身内や友人や近隣住民だけを招待するというものだ。校門では、学校の教員がもぎりをしている。わらわらと人の群れが校舎に吸い込まれていく。

                 裕子のクラスは瑠海のネコミミメイド服姿が見たいのか、すでに学校の男子生徒による列が隣のクラスまで伸びている。
                 ネコミミメイド喫茶は瑠海の人気にもあやかって大盛況だった。メイド喫茶というとぶりっ子声を出したメイドが、「萌え萌えキュン」などと言いながらハートマークをケチャップで描いたオムライスを倍以上の価格で提供したりするものが一般的だが、ここではクラスの女子がそんなぶりっ子接待を断固拒否したため落ち着いたものになっている。男子が裏で淹れた紅茶に前日から用意した手作りクッキーなどのお茶うけをオーブンで温めなおしたものを、女子が優雅に「ご主人様、お茶をお持ちいたしました」などと、メイド服姿で運んでくる。そんな落ち着いた接客なのに、頭は猫耳、というところがまたシュールで可愛くて、客にウケているようだ。店内は撮影禁止であるにもかかわらず、こっそりその姿を撮ろうとするものが後を絶たない。
                「いやぁ、すごい盛況っぷりね…」
                 裕子が廊下を覗くと、すでに2クラス分の列ができている。
                「これで豪華な打ち上げが出来そうね」
                 同じ時間帯で働いている友達の奈津美も、期待たっぷりな笑みを浮かべている。同じく前半のシフトには響子も入っている。
                「あれ?今はダイエットしてるんじゃなかった?」
                 からかい気味に裕子。
                「今日は特別。と・く・べ・つ。そんな日もないとダイエットなんてやってらんないわ」
                 平気、平気といった顔の奈津美。
                 と、いきなり教室の中から罵声がとびだした。
                「おい、お前みたいなブスが出した茶なんてまずくて飲めるか!」
                「いれなおせ!おい、そこの女が淹れろよ」
                 教室の中に戻ると、何やら外から来た招待客らしき男二人組が騒いでいる。見るとうちのクラスの女子飯山香織が絡まれている。あまりそういうことを言わなそうな格好をしている二人組だった。たしかに彼女の顔立ちは整ってはいないのだが…。飯山香織はどうしていいのか立ち尽くし、泣いている。裕子はいきり立ち、食いかかろうとした。
                「お客様、お代は結構ですのでお帰りになってください」
                 と、瑠海が満面の笑顔で横から入った。
                「お、いい女じゃねえか」
                「てめえが淹れるってんなら、飲んでやってもいいぜ。ひゃははは!」
                 と、瑠海の中で何かが切れた。
                「いいから帰れつってんだろ!!」
                 瑠海は男二人の胸ぐらをつかむとそのまま廊下へ引きずりだした。
                「あんたたちに出す茶はない!!」
                 尻餅をついた二人に、仁王立ちする瑠海。廊下では、何の騒ぎだと人が集まりはじめた。
                「え、あれ、あ、あの、すみません…」
                「あれ?あれ?すみませんでした…」
                と、いきなり毒気が抜かれたように二人組は素直になりだした。呆気にとられる瑠海の前から、そそくさと二人は逃げ去った。
                「さすが長谷川!」
                「スゴイ!シビれる!憧れる!」
                「キャーー!!瑠海様ぁ〜!!」
                 教室の中から、廊下から、一部始終を見た人も何のことかもわからない人も、瑠海に対して拍手喝采を送った。瑠海は恥ずかしげに周りに会釈すると、教室に戻っていった。未だ拍手と歓声の鳴り止まない教室に戻ると、顔を赤らめ潤んだ瞳の飯山香織が待っていた。
                「あの、ありがとうございました!」
                「いいのよ。私がカチンと来ちゃっただけなんだし」
                「あ、でも、やっぱり私みたいなのがメイドなんてやってたら、みんなの迷惑ですよね…」
                「そんなことはない!!」
                 そういうと瑠海は香織を抱きしめた。
                「私は飯山さんと一緒にやりたいよ?だからこれからも続けよ?」
                「は、はい」
                 嬉しさ満面の笑みで香織は瑠海を見上げた。
                「おお〜」
                「これは…」
                「百合ってやつか…」
                 教室や廊下から覗いてる人々がどよめいた。中にはシャッターチャンスとばかりに、スマホをかざしている者達もいる。
                 こういった気立ての良さが、長谷川瑠海が男子からも女子からも人気の高い理由だ。
                「はいはい、教室内は撮影禁止」
                 いくらかの猶予時間を与えると、クラスの女子が注意を促した。

                 長谷川瑠海を見つめる裕子と響子には、別の驚きがあった。
                「響子見た?」
                「うん…、長谷川さんが喝を入れたら、あのふたり組の中から何かが飛び出して消えていったわね…あれって、もしかして…」
                「そう、妖魔だな」
                と、二人の近くのテーブルから桃真が相槌を打った。紅茶をすすっている。
                「な、あ、あんたいつのまに!?」
                「びっくりしたぁ…」
                 今まで接客していたはずなのに、二人は初めて気がついた。桃真は何くわぬ顔でクッキーを紅茶にしたしている。
                「どうやら長谷川瑠海の能力は音に関わっているみたいだな」
                「音…!?」

                葉風 * お話 * 15:02 * comments(0) * trackbacks(0) * - -

                美少女戦士まほうしょうじょ 第3話 その5

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                   「やあ瑠海ちゃん。いつもおばあちゃんに付き添っていて優しいね」
                  「あ、いえ…話すことが不自由ですから当然です」
                   住宅街にぽつんとある、整形外科医院。瑠海は祖母と町医者を訪れていた。
                  (ふごふごふご…)
                   瑠海の祖母が消え入りそうな小さな声で何事かしゃべっている。それにすかさず瑠海は聞き耳を立てた。
                  「うん、うん…。いつも葛西先生のお陰で、リュウマチも大分和らいでおります。ほんにありがとうございます。とのことです」
                   まるでどこかの通訳のように、瑠海は言葉のボールを中継ぎした。
                  「僕の方こそ、お役に立てて嬉しいですよ。それにしても相変わらず瑠海ちゃんの聴力には驚かされるね。僕が耳をそばだてても、よく聞き取れないのに」
                  「祖母の言葉は家でも、母と私だけしか聞き取れませんから」
                  「へえ、まるで何かの能力でも備わっているようだね」
                  「かも知れませんね、ハハハ」
                  「あはは」
                   しばし診察室に流れる和やかな雰囲気。どこか照れたような瑠海の顔には熱を帯びていた。
                  「じゃあ、今日も始めていこうか」
                   そう言うと看護婦が採血を始めたり、その後の経過を聞いたり、触診などをはじめた。
                  「今回もできるだけ抗生剤は使わずに、どうしても痛くなったくなったら飲むという方向でよろしいですか?」
                  (ふごふごふご…)
                  「はい、全て先生にお任せいたします」
                  「心得ました。あ、そういえば、来月の同じ日は僕が休みをとるから、少し診察日をずらしますね」
                  「え、何かあるんですか?」
                  「うん、僕結婚するから新婚旅行に行こうと思ってね」
                  「あ、新婚旅行ですか…え、ええええええええええっ!?」
                   瑠海は驚きのあまり立ち上がった。
                  「びっくりしたぁ…。る、瑠海ちゃんがそんなに驚かなくても…」
                  「だって、1ヶ月前には彼女も婚約者もいないって言ってたじゃないですか!?」
                  「そうだったんだけどね。あれから伯父さんのすすめでお見合いしたら、どうもその娘と気が合っちゃってね。で、それを知った伯父さんが結婚するなら早くした方がいいって言うんで、トントン拍子に話が進んじゃってね。来月、めでたく結婚することになっちゃったんだよ。いやぁ、急な話で僕もびっくりだったよ、あはは」
                  「そ、そうなんですか…。あははは…」
                   対照的な笑い。瑠海は心の深海に沈んでいくように気落ちしていった。
                  「あれ、どうかしたの瑠海ちゃん!?急に元気がなくなったようだけど?大丈夫?」
                   瑠海の気持ちを知ってか知らずか、葛西は心配そうに面持ちを投げかけた。
                  「大丈夫です…よ…。あははは…」
                  「瑠海ちゃんにもきっと素敵な相手が見つかるよ」
                   さわやかな笑顔を向けられた瑠海の表情は冴えない。
                   祖母はそんな瑠海に気遣った目を流した。

                   病院からの帰り道。この世の終わりかのように、瑠海はうなだれていた。
                  「ふごふご(大丈夫かい?)」
                   酷く落ち込んでいる瑠海に思わず祖母は声をかけた。
                  「だ、大丈夫よ…おばあちゃん…」
                  と、大丈夫じゃなさそうな顔を上げて応える。
                  「ふごふごふご(瑠海は気立てがいいだけに変な男も寄ってくるだろうからの、ああいった誠実な男と会わせたんじゃが、残念じゃったね)」
                  「え…おばあちゃん…私に先生を意図的に会わせてたの?」
                  「ふごふごふご(実はね。しかし、それもおしまいじゃの。通院するのも来月からはもう一人で大丈夫じゃよ)」
                  「え、でもおばあちゃん、話す方はどうするの」
                  「実は話せるんよ」
                   いたずらっぽそうに瑠海の祖母は笑った。
                  「え?…ええええええええ!?」
                  「瑠海がまともな男と結ばれると、ばあちゃんも安心なんじゃがのう」

                   そんな二人の後をつける三つの影があった。
                  「響子、話しかけられそうか?」
                  「いえ、ちょっと今はあまり話しかけられそうにもないです」
                   物陰から瑠海と祖母の様子をこっそり伺う桃真と響子。
                  「結局、裕子も長谷川さんを仲間に加えることに賛成なのね」
                  「あのね、私はまた響子や桃真がとんでもないことをしないように見張ってるわけ」
                   後ろから二人へ疑いの眼差しを向ける裕子。
                  「それなら大丈夫だ。もう難関は突破した」
                  「あとは話をつけるだけですね」
                   拳を握って、鼻息を鳴らす響子。
                  「その話っていうのはどうつけるつもり?」
                   裕子は桃真に問いただした。
                  「まぁ機会をうかがうしかないだろう。自然と妖魔退治の話をするしかない」
                  「…それって相当話術が巧みじゃないと、怪しまれるわね…」
                  「明日からは文化祭なのだろう?その話をする機会もあるかもしれないぞ」
                  「そうだといいんだけどね…」
                  葉風 * お話 * 09:21 * comments(0) * trackbacks(0) * - -
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